糖尿病の症状と予防方法について

世界中で約1.5億人を苦しめている病気、それが糖尿病です。
2025年までにその患者数は2倍になるおそれがあるとWHOは警告しています。

日本についても状況は深刻で厚生労働省の調査(2016)によると、調査対象者のうち糖尿病が強く疑われる者の割合が12%にも上りました。
その数は約1,000万人と年々増加の一途を辿っています。

このデータからわかるように糖尿病は誰もが患う可能性のある私たちにとって非常に身近な病気なのです。
研究は進んでいるものの、現状の医療では残念ながら糖尿病を完治することはできません。そのため、一度患うと生涯治療を続けて心身のコントロールを行う必要があります。
精神的および金銭的負担を考えると非常に辛いものです。

ただ、幸いなことに糖尿病は予防できます。
その第一歩として糖尿病のメカニズムを知りましょう。

糖尿病のメカニズム

糖尿病は、血液内で糖が増えすぎてしまう状態です。

通常、糖質を含む食品を食べると消化され、糖が血液中に吸収されます。
すると、膵臓から分泌されるインスリンと呼ばれるホルモンが糖を細胞に運ぶのです。

つまり、インスリンが糖の調整に重要な役割を果たしています。

糖尿病になると、インスリン自体がでにくくなるのと、血液で運ばれてきた糖が細胞側で受け入れにくくなるのです。

糖尿病の症状

血液中にある糖の量を数値で表したものを血糖値(mg/dl)と呼びます。

前述のとおり、糖尿病の場合、この血糖値が高い状態になっています。
具体的には、血液検査で「空腹時の血糖値が126mg/dl以上または負荷後2時間の血糖値が200mg/dl」とガイドラインで規定されています。

血糖値が高くなると様々な症状が現れます。
代表的なものは次のとおりです。

  • 喉が異常に渇く
  • 頻繁に尿意をもよおす
  • 異常に空腹を感じる
  • 突然体重が減ってきた
  • 以前より疲れやすい
  • イライラする
  • 目がかすむ
  • 傷の治りが遅い

症状には個人差がありますが、糖は体中で使われるエネルギー源のため糖尿病の場合、全身に影響が現れます。
糖が細胞に十分に運ばれないことでその細胞が上手く働かずこのような症状が出てしまいます。

仮にあなたの血糖値が規定された数値にあてはまらなくても、このような症状がある場合、前糖尿病と呼ばれる、正常値よりは高いが糖尿病ほどではない段階にあたるかもしれません。

症状を普段から意識しておけば糖尿病になる前に気付くことができます。

また、糖尿病が進行すると糖尿病の三大合併症とよばれる症状が出てきます。
具的には以下のような症状です。

  • 糖尿病性網膜症
  • 目の奥にある網膜には、無数の毛細血管があります。
    糖尿病性網膜症になるとこれらの毛細血管がもろくなり出血し、最終的には失明の原因になります。

  • 糖尿病性腎症
  • 腎臓には、血液をろ過する糸球体とよばれる毛細血管が密集している部分があります。
    糖尿病性腎症では、この糸球体の働きが悪くなり、腎臓機能が低下し、最終的には人工透析を受ける必要もでてきます。

  • 糖尿病神経障害
  • 糖尿病になると早い段階で出るのが神経症状です。
    主な症状は痛みや温度に過敏になったり、食欲不振や発汗異常がでたりする傾向があります。

糖尿病の予防

糖尿病については次の行動を意識することで発症リスクを減らす方法が確立されています。

  • 血糖値と体重を把握する
  • 適量の食事と適度な運動を心がける

まず、定期検診が非常に重要です。

なぜなら、2型糖尿病は自覚症状がない場合が多々あるためです。
血糖値は血液検査で簡単に測ることができ負担が少ないので病院での定期検診をおすすめします。

とはいえ、どうしても病院に行く時間がないという方もいるでしょう。
最近は自宅で使える血糖値測定器もありますのでそういったものを利用することも1つの方法です。

それに加えて、体重管理も欠かせません。
1日1回計測することで体重の増減を把握しましょう。
体重がいつもより増えてきた場合は糖尿病のリスクも上がりますので減らすよう生活習慣を改める必要がありますし、逆に急に減った場合はすでに糖尿病にかかっている可能性がありますので速やかに受診する必要があります。

まずは血糖値と体重、2つの数値を知ることが第一段階です。
自身の状態を数値でしっかり把握した上で、健康的な食事を心がけましょう。

糖尿病に限りませんが野菜、フルーツ、穀物類を中心に脂肪が少なく食物繊維の豊富な食材をバランス良くとることが一般的に良いとされています。

特に、糖尿病予防については食べすぎないことが重要です。
糖が一度に大量に体内に入るとインスリンの働きが追いつかなくなります。
この習慣を続けるとインスリン生成の仕組みに負担がかかって上手く働かなくなるおそれがあります。

同時に1日30分程度の軽い運動も効果的です。
運動をすることで体はエネルギー源の糖をたくさん使おうとするのでその分インスリンがより上手く働くようになります。

糖尿病は予防できる病気です。
また早期発見が重症化を防ぐカギです。
まずはあなたの血糖値と体重を管理して生活習慣を見直すことから始めてみてください。

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